1年生で入った頃の最初の試験っていうのが第2外国語のドイツ語だったんですね。
そのときに試験勉強するじゃないですか。
そしたら、わからへんのです。授業出てないから(笑) それでとりあえず全訳を覚えようと思ったんです。 「可」ぐらい取れるかなって思って。 でも、全訳を作れなかった・・・(笑) 辞書引いてもよくわかんなくて。 そこで、ドイツ人の留学生に「ごめん、これ3000円で全訳作ってくれへん?」って頼みました。
留学生ってバイトができへんから、喜んでやってくれるわけですよ。 そんときに僕、財布にあんまお金が入ってなくて、これを払うと生活できなくなって困るから、
友達に500円で買ってもらったんです。 そしたら、結構儲かって、これいいなって(笑) そういうことがあったのが、1年生のときの春だったんです。
ESS入ったときに1コ上の帰国子女の先輩がいて、その人がすごい金儲けが好きな人だったんですが、
その先輩に言ってみたら、「組織的にやろう!」っていう話になって、
1年の冬の試験前になったら、教室行って、 「皆さん、こんにちはー!皆さん、500円を下さい!そしたら、全訳をプレゼントします!」っていう感じで、
いろんなとこで売ってました。
さらに、インターネットに載せて、「どこの大学からでも受け付けます」みたいなことをやってたら、
北海道の大学とかいろんなところから来たりして、楽しくやってました。 −それで今の事業を?− そうですね。 −じゃあ、今仕事っていうのは楽しいですか?− はい、楽しいですよ。 全く翻訳とかはできないですけどね(笑) −やってて楽しいって思えるような仕事に就くにはどうすればいいんでしょうか?− やってて楽しい仕事って考えると多分無理で、 僕も別に翻訳って楽しいから翻訳業をしようっていうのではないですね。 自分の目の前にいろんなことが起きてくるとその中でも「やりたいこと」と「やりたくないこと」って出てくるじゃないですか? そのなかで「やりたいこと」だけやっていって、それでお金がもらえたっていう感覚なんですね。 だから、やりたい仕事に就けたっていうよりかは、やりたいことだけやってお金がもらえて、
楽しくていいなあって思えるようなことが実は気がつくと仕事になっていたよ、っていうもんなんで。 −就職活動とかは考えなかったんですか?− 全くしてないですね。 会社作ったんが、3年生の7月やったんですけど、 みんなが就職活動をしようかっていう頃だったんで。 −どうして会社を作ろうと思ったんですか?− さっきのような活動をやってて、まあ今でも学生団体同士のつながりがあったりするじゃないですか、
でも、昔はそういうのが全然なくて、関西の学生団体を一堂に集めて何か面白いことをしようって言ってたやつがおったんですよ。 そのうちで、今でも親友で彼も会社を作っているんですが、応谷っていう学生と仲良くなったんですね。
ちなみにその応谷の父親は社長だったんですが、その応谷が父ちゃんに
「こんなあこぎな商売やっているやつが神戸におるで。」って言うてたんですよ。
そうしたら、一回連れて来いっていうことで一回連れてこられて、
いきなり300万を渡されて、「これで会社を作るんだったら、やり」って言われて、
僕はおお、すごいなって思って、やることになったんです。 −そのときに迷わなかったんですか?− 迷うって言うか、はじめ300万をもらったときに、 「この人は300万っていう金で、僕の人生を買おうとしてる」って思うじゃないですか(笑) 話を聞いてたら、使い切っても怒らへんし、何もせえへんって言うんですね。 「就職したかったらしてもいいし、儲かってても面白くなかったら辞めていい、 儲かってて面白いんやったら、続けなさい」って言われて、 それだったら、ええやん、やってみようって思いました。 −すごい人と出会ったんですね。 起業してよかったなあって思うことは何ですか?− 嫌なことは何もしてないんで、ほんとにやりたいことだけやってます(笑) それと、僕はあまり自覚がないんですが、会社を作る前の僕と会社を作ってからの僕ってすごい違うらしいんですね。
僕は今の自分がとても好きだし、ほんとにいろんな人と会って、いろんな価値観に出会えたりして、
そういう生き方がものすごい良かったですね。 なかなかそういう生き方ってしにくいって言うんで、その点では、良かったことではないかなって思いますね。 あと、ほんとに一生お世話になれるような先輩にも会えたりして、そういうのが自分にとってはすごいありがたいですね。 −話が変わるんですが、今の学生についてどう思いますか?− 昔より活発ですし、その時代に自分がいたら、会社はやってないんじゃないかなって思ったりするぐらいに
みんな活発だなあって思います。 昔より全然学生が活動しやすくなってるんで、たとえどんな悪いことが起きても、
死にはせんやろう気持ちでいろいろ挑戦すればと思うんです。 今でも僕が思ってるのが、会社でいろいろありますけど、どうせ死にはせんからいっかっていうことですね。
学生なんかは特に、まあ失うものが何もないとは言いませんけど、好き勝手やって、
怒られてもごめんなさいで済む話は多いんで、いろいろやったらいいと思うんで、
頭でっかちにならずにハングリーさを持ち続けて欲しいと思う。 僕もつい2日前に、あの学生のときのやる気はどこに消えたんやって言われた(笑) そういう若さみたいなのが持てるのは学生の特権だと思うんで。 −たしかに失うものないですよね− 僕もね、失うものがないつもりなんですけどね。 この間言われたんが、僕、たなかつって言われてるんですけど、
「昔たなかつに会ったときはすごい恐ろしくて怖かった」って言うんですね。 「でも、今は全然怖くない。どういう感じかわかるから。」 学生って底が見えないんで、そこがやっぱ強みなのかなって思います。 よく言うじゃないですか、登ったことがない山でどんだけの高さかわからなかったら、どんなプロでも苦労するって言うけど、
富士山とかみたいに高さがわかったら、攻略の仕方が考えれるから楽って。 そんな感じで学生はどういうポテンシャル・可能性を持っているか計りきれないんで、怖いんですよね。
でも、一度僕みたいに会社を作って、ある程度やっていくとだいだいその会社の底力って外から見透かされるわけですよ。
そうなってくると全然怖くないってよく言われますね。 −昔は恐れられていたんですか?− いや、学生はみんなそうですよ。だって、わからんでしょ、どう化けるか。 ただ今は何も知らないだけで、知ったらどんだけすごいねんっていう可能性があるので、 恐れられていますね。 −田中さんの今後の目標っていうのはあります?− とりあえず株式会社には近いうちにしたいなと思ってる目標ですね。 あとは、僕のいわば師匠っていう人からの言葉で、すごく大好きな言葉なんですけど、 「小さくても強い事業」っていうのを実現したいなって思います。 最近はちょっと拡大しすぎたので、もう一回初心に帰って、 人数が少なかったり、会社規模は小さかったりするけれども絶対につぶれない会社っていうのを
もうちょっと考えてみたいなって思ってます。 けっこうイケイケでやってきた部分も確かにあったのと、昔ほど精を入れてやってきていない部分もあるんで、
そのへんももう一回引き締めてやっていこうかなと。 もう4年目なので、だいぶだれてきた部分もあったと思うんです。 −では、新事業とかは考えられてないのですか?− いや、めちゃめちゃしてますよ(笑) 格安航空券を売ったりとか、海外に関することは全部やってるんで、 その事業をちゃんと一つずつ形にして、送り出していくことをしたいんですけど、 そのために人を入れて、やってしまったんですね。 昔やったら、絶対しなかったんですけど。 人を入れなくても事業の拡大は絶対可能なんですよ。 そこの部分を自分が、お金がある分、人を入れることで解決しようとしてしまったんで、 頭で汗をかいて、人を増やさなくてもできる方法を模索しなかった自分がやっぱいたわけですよ。
そういう部分を何とかしたいと思います。 −好きな言葉ってあります?− 「上善水如」っていう言葉がすごい好きなんですよ。 知ってます?日本酒であるじゃないですか(笑) その言葉の意味は、水って丸い器に入れれば、丸く形を変えるし 四角い器に入れれば四角になるっていうように、 何かにとらわれることなく、そこにある状況に合わせて柔軟に生きていけたらいいなって いう思いがこもってるんですけど。そういう自分であれたらいいなって思います。 別に八方美人とかっていう意味じゃないですよ。 だから、何かとらわれるんではなくて、自分のしたいこととか、その場にあることとかを そのまま受け入れて、そこでできることっていうのをやっていきたいなって考えてます。 全然会社のポリシーとかとは違うんですけど(笑) 会社のポリシーは「すっごくニッチ(※1)で、とっても楽しくて、ごっつい楽で、 むっちゃ儲けよう」っていうのが内の会社の方針なんですね。 すごいわがままなんですけど(笑) この4つのポリシーを貫いて、「小さくても強い事業」っていう会社にしていきたいですね。 −そうですか。今日はお忙しいところ、ありがとうございました!− ※ニッチ:隙間のこと。大企業などがやらない「隙間」産業のことを示す。 □記者の感想 田中さんは僕の兄と同じくらいの年なのですが、
すごくしっかりしていらっしゃって、とても元気だなあって思いました。 お仕事がとっても忙しい中、インタビューにお答えいただき、ほんとうにありがとうございました! |